ChatGPTに市場調査を頼む前に決める評価軸|浅い回答を避ける聞き方

AI活用・質問設計

ChatGPTに市場調査を頼むと、市場規模、競合、価格、顧客ニーズなど、多くの情報が返ってきます。

しかし、情報は増えたのに、結局その市場へ参入すべきか、事業として成り立つのかを判断できないことがあります。

原因の一つは、調査を始める前に、調査結果を何の基準で評価するかを決めていないことです。

市場調査では、最初から調査項目を大量に並べるのではなく、次の順で依頼内容を整理します。

  1. 調査結果を使って何を決めたいのか
  2. 何を基準に判断するのか
  3. 判断にはどの情報が必要なのか
  4. 調査結果をどの形で返してほしいのか

この記事では、評価軸と調査項目の違いを整理し、ChatGPTへの依頼を変えることで、市場についての説明を判断に使える調査へ変える方法を示します。

ChatGPTへ市場調査を頼む前に「何を決めたいか」を決める

市場調査を始める前に決めるのは、調査する項目ではありません。

最初に、調査結果を使って何を決めたいのかを一文にします。

同じ市場を調べる場合でも、下したい判断によって必要な情報は変わります。

  • その市場へ参入するか
  • 新しい商品を作るか
  • 広告を出すか
  • ブログで扱うテーマにするか
  • 本業として成立するか
  • 小さく試す価値があるか

たとえば、「ブログの収益化について調べる」だけでは、調査の範囲も判断基準も決まりません。

次のように、調査後に決めたいことまで指定します。

ブログの広告、アフィリエイト、商品紹介、物販を組み合わせた場合に、事業として現実的に成立するかを判断したい。

OpenAI公式のDeep Researchに関する案内でも、具体的な調査依頼には、目的、範囲、対象期間、希望する出力形式を含める方法が示されています。

市場調査に限らず、ChatGPTの回答が一般論になる場合は、先に質問文の条件を確認してください。
ChatGPTの回答が浅い原因|質問文に足りない条件

評価軸と調査項目は別のもの

市場調査を依頼するときは、評価軸と調査項目を分けます。

  • 評価軸:集めた情報を使って良し悪しを判断する基準
  • 調査項目:その判断に必要な情報

たとえば、「利益を残せるか」は評価軸です。

その判断に必要な販売価格、原価、手数料、集客費、作業時間などが調査項目になります。

区分
評価軸利益を残せるか
調査項目販売価格、原価、手数料、集客費、必要な作業時間

市場規模、競合数、価格などを調べても、何を基準に評価するかが決まっていなければ、参入すべきかは判断できません。

先に評価軸を決め、その判断に必要な調査項目へ落とします。

事業として成立するかを見る4つの評価軸

市場調査の評価軸は、調査の目的によって変わります。

事業として現実的に成立するかを判断する場合は、需要、収益性、競争、実行可能性の4つに分けると、必要な情報を整理しやすくなります。

需要があるか

商品やサービスを必要とする人がいるかを確認します。

  • 誰のどの困りごとを解決するのか
  • 困りごとを解決するために、現在どのような行動を取っているか
  • 実際に商品やサービスを探している人がいるか
  • 無料の情報ではなく、お金を払う理由があるか
  • 一時的ではなく、継続する需要か

検索数や市場規模が大きいだけで、購入されるとは限りません。

誰が、何を解決するために、なぜ利用するのかまで確認します。

収益を残せるか

売上が発生するだけでなく、必要な費用や作業を差し引いて利益を残せるかを確認します。

  • 何から売上が発生するのか
  • 1件当たりの価格や報酬はいくらか
  • 原価や販売手数料はいくらか
  • 顧客を集めるために費用や時間がどれくらい必要か
  • 目標利益を得るには何件の販売や成約が必要か

広告、アフィリエイト、商品販売では、売上が発生する条件が異なります。

市場全体の金額だけではなく、自分の事業で売上と費用がどのように発生するかを分けます。

競合の中で選ばれる理由があるか

同じ商品を販売する相手だけでなく、顧客が現在使っている代替手段も確認します。

  • 同じ顧客を対象にする直接競合は誰か
  • 顧客が現在使っている別の解決方法は何か
  • 競合はどの価格で、何を強みにしているか
  • 後から参入しても選ばれる違いがあるか
  • 仕入れ、知名度、技術、法令などの参入障壁があるか

競合が少ないことだけで、有望な市場とは判断できません。

需要そのものが弱いため、参入者が少ない可能性もあります。

自分が実行・継続できるか

市場に需要があっても、自分の資金、時間、知識で実行できなければ、現実的な事業にはなりません。

  • 開始時に必要な資金はいくらか
  • 必要な知識や経験を持っているか
  • 一人で運用できる作業量か
  • 仕入れ、発送、問い合わせ対応などの継続作業は何か
  • 法令、契約、許可、プラットフォーム規約などの制約があるか

市場の魅力と、自分が実行できるかは分けて評価します。

評価軸から調査項目を決める

評価軸を決めたら、それぞれの判断に必要な情報を調査項目へ変えます。

評価軸判断したいことChatGPTへ調べさせる項目
需要利用者や購入者がいるか顧客像、困りごと、現在の解決方法、購入理由、需要の変化
収益性売上から利益を残せるか価格、報酬率、原価、手数料、集客費、必要販売数、作業時間
競争後から参入して選ばれるか直接競合、代替手段、価格差、競合の強み、参入障壁
実行可能性自分が始めて継続できるか初期費用、必要な知識、作業内容、運用時間、法的条件

すべての市場調査で、この表の全項目を調べる必要はありません。

たとえば、小さく試す価値があるかを判断するだけなら、市場全体の詳細な予測よりも、顧客の困りごと、試験販売の費用、必要な作業時間を優先します。

調べられる情報を集めるのではなく、今回の判断を変える情報を選びます。

依頼文を変えると市場調査の回答はどう変わるか

私は、ブログの広告収入、アフィリエイト、商品紹介、物販が事業として成り立つかをChatGPTへ調査させたことがあります。

最初は、次のように調べたい対象をまとめて依頼していました。

変更前の依頼

ブログで広告収入やアフィリエイト収入を得られるか、市場調査してください。商品紹介や物販についても調べてください。

変更前に返ってきた回答例

ブログの主な収益方法には、広告収入、アフィリエイト、商品販売があります。

最初はSEO記事を増やしてアクセスを集め、アフィリエイトを主軸にする方法が現実的です。アクセスが増えた後に、自社商品や物販へ広げるとよいでしょう。

読者の悩みに合った記事を継続的に公開し、SNSも活用することが重要です。

収益方法についての説明はありますが、次の点は分かりません。

  • なぜアフィリエイトを主軸にするのか
  • 広告、アフィリエイト、物販を何の基準で比較したのか
  • 現在のブログの条件で実行できるのか
  • どの情報が確認済みで、どこからが推測なのか
  • 判断するために、あと何の情報が必要なのか

そこで、調査後に決めたいことと、評価軸、除外条件、出力形式を追加しました。

変更後の依頼

ブログの広告、アフィリエイト、商品紹介、物販を組み合わせた場合に、事業として現実的に成立するかを判断するための市場調査をしてください。

需要、収益性、競争、実行可能性に分けて調べてください。

現段階では主軸となる収益方法を決めず、関連する調査結果を勝手に除外しないでください。

各項目を「確認できた事実」「事実から考えられる仮説」「不足している情報」に分けてください。

最後に、各評価軸について、現時点で判断できることと判断できないことを示してください。

条件を追加した後の回答例

需要

現時点の判断:情報を探す需要の有無は確認できるが、有料の商品やサービスを購入する需要までは判断できない。

確認できた事実:対象分野について情報を提供する競合サイトや、関連商品を扱うサービスが存在する。

仮説:実体験や実際の数字を使った記事には、一般的な説明との差を作れる可能性がある。

不足情報:実際の検索クエリ、記事への流入数、商品リンクのクリック率、読者が支払う金額。

次に確認すること:Search Consoleの検索クエリと、既存記事からの商品リンクの反応を確認する。


収益性

現時点の判断:各収益方法の仕組みは比較できるが、現在のアクセス数や成約率がないため、どれを主軸にするかは判断できない。

確認できた事実:広告、アフィリエイト、商品販売では、売上が発生する条件と必要な作業が異なる。

仮説:一つの収益方法へ限定せず、記事の検索意図によって広告、商品紹介、自作資料などを使い分けられる可能性がある。

不足情報:月間アクセス数、クリック率、成約率、販売価格、作成時間、販売手数料。

次に確認すること:収益方法ごとに、必要アクセス数、成約数、作業時間を仮置きして試算する。


暫定結論

現時点では、アフィリエイトや物販のどちらかを主軸に決める根拠は不足している。

先に既存記事の検索流入と読者行動を確認し、各収益方法の必要条件を同じ基準で試算する必要がある。

変更前は、収益方法の説明と一般的な進め方が中心でした。

変更後は、何が確認でき、何が不足しているため判断できないのかが分かる回答になっています。

市場調査の量を増やしたのではなく、判断したいこと、評価軸、除外条件、返答形式を明確にした結果です。

調査結果は事実・仮説・不足情報に分ける

ChatGPTが集めた情報を、そのまま事業性の結論として使うことはできません。

調査結果を、確認できた事実、事実から考えられる仮説、不足している情報に分けます。

区分内容
確認できた事実出典や実際のデータから確認できる内容公式料金、市場データ、商品仕様、公開されている競合情報
事実から考えられる仮説確認できた事実を基に考えられる可能性特定の顧客層に需要がある可能性、収益方法を組み合わせられる可能性
不足している情報判断するために必要だが、まだ確認できていない内容自分の成約率、実際の作業時間、購入者が支払う価格、継続率

市場規模が大きいことは事実として確認できても、自分の商品が売れることまで確認できたわけではありません。

競合が商品を販売している事実から、一定の需要がある可能性は考えられます。しかし、自分も同じ条件で売れるとは限りません。

ChatGPTの回答に出典が付いている場合も、重要な判断へ使う情報は元の資料を開いて確認します。

評価軸ごとに仮の判断を出す

市場調査は、情報を集めて終わりではありません。

各評価軸について、現時点で判断できることと、判断できないことを分けます。

評価軸現時点の判断根拠不足情報次に確認すること
需要実行可・保留・見送り確認できた顧客行動や市場データ購入意向や自社データ顧客確認、検索クエリ確認、試験販売
収益性実行可・保留・見送り価格、原価、手数料、必要販売数成約率や作業時間利益試算、小規模な販売テスト
競争実行可・保留・見送り競合、代替手段、参入障壁顧客が選ぶ理由競合比較、顧客への確認
実行可能性実行可・保留・見送り現在の資金、時間、知識実際の運用負担作業の試行、必要条件の確認

「判断保留」も調査結果の一つです。

情報が不足したまま無理に実行や見送りを決めるのではなく、何を確認すれば判断が進むのかを示します。

ChatGPTへ依頼するときは、最後に次の指示を追加します。

各評価軸について、「現時点の判断」「判断の根拠」「不足している情報」「次に確認すること」の順で示してください。判断できない場合は、無理に結論を出さず、判断保留としてください。

まとめ

ChatGPTへ市場調査を頼む前に、市場規模や競合などの調査項目を並べるのではなく、調査結果を使って何を決めたいのかを一文にします。

  1. 市場調査で何を決めたいかを明確にする
  2. 判断に使う評価軸を選ぶ
  3. 評価軸から必要な調査項目を決める
  4. 調査結果を事実、仮説、不足情報に分ける
  5. 評価軸ごとに現時点の判断を出す

市場について詳しく説明してもらう依頼と、事業として成立するかを判断するための依頼は異なります。

調査後に下したい判断と評価軸を先に指定すれば、情報の羅列ではなく、何が分かり、何が不足しているのかを確認できる市場調査になります。

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参考情報

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